深夜、畑からある声が響いた。
それはおっとりとした声。
響くと、
心が快く、ほっこりとした。
それがある動物の鳴き声かどうかわからん。
ただ、
その声を聴くのは、生まれて初めての快感となった。
村長によると、それが麒麟の鳴き声らしかった。
村長は六十代の年寄り、村の人々に尊ばれておる。
記載に、この村には千年以上、二度と麒麟の姿が現れたことはないそうだ。
そして、
今までと違う風が吹いていて、何故か妙に強かった。
木の葉ががさがさとして、騒がしい。
なのに、
この風に触れると、
心が直ちに落ち着き、頭が冴えるようになった。
ゆっくりと天を仰ぐ。
なんと、
一羽の鳳が空を飛んでいた。
道が騒がしくなった。
それが、村人たちの叫び声があたりに響いていたのである。
仕事中の人は手元の仕事を置き、睡眠中の人が睡眠を破り、集まる通りに向かった。
ただ、この奇妙な様子を見るためである。
ところで、
ある小部屋で、一人の妊婦が赤ん坊を生む寸前である。
突然。
東の森から、光が閃いた。
青く、強く。
一人の老人が目を顰め、瞑った。
何故なら、その光に映られた目が、少し痛めが感じる。
光が消えた後。
あっと言う間に、一匹の竜の影が天の彼方へ消えてゆく。
それが煙か何なのか、誰もが判らん。
村人の騒ぎが更に騒々しくなってきた。
しかし、
この時、
ある赤ん坊の泣き声がこの騒音を凌ぎ、村中に響き渡った。
漸く村人が静まり、次々と声の源へ。
その先は、村の真ん中にある村長の屋敷、生まれたのは村長の孫である。
つづく
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masaさん、ujaraさん、
ありがとうございました。
http://lang-8.com/kakukangen/journals/120540271912311169619676495142636653516
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