2016年8月27日土曜日

壱、混沌出世 大鳳慈悲 / 壱章の二

前編https://kakuhiromoto.blogspot.tw/2016_07_01_archive.html
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凡歩平は剣を鞘に戻し、
目を瞑った。
すると、
「師匠、人が近づきます。」と、
「息が急ぎ、足取りも重い。さぞ疲れてるな。」
「弟子が見てきます。」
話が済むと、
間もなく木の上で身を隠し、
来客の元へ行く。

数十本の木を経て、
一人の少年の姿が目に入った。
彼は上等な布で作られた衣装を着ている。
ただ、
その衣装はもうボロボロになった。
彼の額に汗だらけ、
目には輝きもなく、
屍のようにひたすら前へ進む。
ふと、
あの少年が魂を取り戻したように叫んだ。
「外道め。出てこい!俺様がぶっ殺してやろう!!」
次に、
少年は腰に懸かった剣を抜いて、
あちこちを斬り舞っている。
ひゅーひゅーと剣気の音がした。
その風音からみると随分と多い力を持っている。

それを見た凡歩平は心の中にこう思っている。
この人は疲れすぎて狂気になったか。いや、僕が来たばかりに、こんな動きが始まった。小さい頃から師匠から聞いた。僕がシユウの転生者だと。信じられない話だが、師匠は決して嘘をつかない。まさかこのシユウの気配を感知したかもしれない。この男はいったい......。ここで変なことあれこれを考えても無駄だ。いっそこの男に試してみよう。
そうしたら、
凡歩平は木から降りた。
「お客さん、我が聖地の太山で、外道めが存在するのはあり得ない話だ。」
「そこの道士よ。この浪人は太山の名に慕ったから、千里も辞せずに、ここにやってきた。どうやら、勘違いしたな。まさか、ここまで妖気が重いのは意外だな。ハハハ......ハハハハハハハ............。」
少年は笑いながら、凡歩平を睨みついている。

「太山のここら辺は、僕と師匠が住んでいるだけ、他に何者でもいない。」
「そういうことは、この辺りにいるのは外道の師弟しかいないっていうことか。やはり天は我を亡ぼそうかよ。少なくとも、その外道の命を道連れとしてもらおう。」
話が終るのを待たなく、
凡歩平は一歩を退いたとともに、
相手の剣が自分の心臓を指し、近寄っている。
「よせっ!僕には剣を抜く理由はない。」
「知るか!その心臓をもらうぞ。黒いかどうか確かめよう。」
「待てっ!あなたはどうやって、そういう妖気を感じれるのか。」
「いずれここで死ぬなら、閻羅王に聞け。」
「どうやら、人の話をちゃんと聞けないみたいだな。」

突然、
銀光一閃、
凡歩平の手に、
一本の剣を握っている。
ちょっとやばいな。さっき師匠に剣法を演じたばかりに、人と戦うのは絶対にやばい。どうやら、一撃で決着をつけよう。
凡歩平は深く一息を吸った。
そして、八割の気を剣にかけ、
両眼に入ったのは相手だけ、
走り始める豹のように、
何時でも相手を切り裂くように、
凡歩平には、
いつも師匠が教えてくれた手加減をするのが全く忘れていた。

凡歩平は
腹からハッと、
一息を吐いた。
全力で進み、
その剣の先は三つになっている。
届く先は喉、心臓、腹、
容赦するようもない。

つづく

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